短歌の空間
2023年9月12日火曜日
『浅い夢』覚書
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横書き100首。復職してから現在までに7首~15首単位で画像ファイル一枚にしてTwitterとInstagramに投稿していた短歌から100首選んだ。投稿時はscrapboxでメモしていた短歌を文庫本メーカーで縦書きに変えて完成としていた。 1首編集の過程で重複が出たが、暮田真名...
2023年3月4日土曜日
動的な鏡ーー橋場悦子『静電気』について
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橋場悦子『静電気』より20首選 相手からもわたしが見えるのを忘れひとを見つめてしまふときあり 閉めきつた部屋にも深く入(はひ)り込む切り取り線のやうな虫の音 好きな色「透明」と言ひしひとのこと思ひ出したり夕立の中 空つぽの弁当箱を持ち帰るやうだ心臓ことこと揺れて いくつものルー...
2023年2月12日日曜日
短歌定型の現在ーー山崎聡子の「つつ」「まま」「よ」について
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コロナ禍の前のことになるけれど、短歌の「接続と因果」にこだわっていた時期があった。主に否定的な文脈で「つつ」や「まま」や「とき」といった語を作者が恣意的に用いてることを大阪や京都の歌会で執拗に指摘していた。それはいわゆる「つぶやき+実景」の+の崩壊、短歌定型という一点のみで成り立...
2023年1月9日月曜日
「角川短歌」1月号から10首選すれば抱負が自ずから出た
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「新春一三三歌人大競詠」を拾い読みした感想をつらつらと。角川の新年大競詠を読んで毎年のように思うのは作り手としての自分とはまったく無縁の文体の歌人がほとんどを占めるということで、柔道なんかの「階級が違う」に感覚としては近い。わたしは「見かけは平易な口語文体」で「ねじれやメタが高度...
2022年11月13日日曜日
永井祐一首評①②
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来年は3回告(こく)ると君は言うコーデュロイのきれいなシャツを着て /永井祐『広い世界と2や8や7』 わたしはこの歌に色気を感じるけれど、何に由来した色気なのだろう? 告(こく)る、とは、意中の人間に向かって自分の好意を伝えること。それを来年は3回やるらしい。同じ人に? まったく...
2022年11月7日月曜日
ラッピングーー平岡直子について
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2010年代後半にわたしは自分宛にふたつの短歌を受け取った。ひとつは〈再演よあなたにこの世は遠いから間違えて生まれた男の子に祝福を/瀬戸夏子〉。ひとつは〈灯台が転がっているそこここにおやすみアジアの男の子たち/平岡直子〉。 リアルタイムでわたしに強烈なメッセージとして訴えてきたの...
2022年10月30日日曜日
〈文学〉が遠いわたしへーー2022年の短歌について
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「過去や歴史はいわば時間的に手の届かないものであり、光や闇、心は空間的に手の届かないものである。著者(水沼注:大辻隆弘)の関心は、そのような今ここに形を持っていない物事に対して、ことばの世界でしかなしえない操作を施すことにあるのではないのだろうか。その動機には、届かないものへの憧...
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